【Finance news】資金繰り表について

桐生の税理士|内田経理FainanceNews

群馬県桐生市の税理士 内田です。

今回のテーマは「資金繰り表について」です。
会計事務所から、毎月試算表が送られてきて、

「今月の売上・利益はどうなっているか」

この点については把握されている社長様は多いと思います。


しかし、自社の資金繰りとなるといかがでしょうか。
今回は経営の判断にも役立つ資金繰り表についてご説明させていただきます。

資金繰り表とは・・・

資金繰り表とは簡単に言うと、「会社のお金の出入りを表す推移表」です。

銀行の借入申込の際にこの資料を提出するように言われた方もいらっしゃるかと思います。
基本的にはお金の入出金の額が分かれば作成することができます。

具体的には
「現金売上」、
「受取手形・売掛金の入金」、
「支払手形・買掛金の支払い」、
「人件費や家賃などの販管費」、
「固定資産の購入」、
「借入金の借入・返済」等の入出金が必要になります。

損益計算書は売上・仕入を基に会社の損益を表すものですが、
資金繰り表は会社のお金の流れを表すものです。

日々の取引において「売上・仕入の計上」と「入金・支払のタイミング」はズレることは多くあります。
このズレによって、損益の動きと現預金の増減は一致しないということになります。

例えば、9月に行った材料仕入の代金を翌月10月に支払う場合です。
損益がマイナスでも資金繰り表上はプラスとなることもありますし、
逆に売上の入金が翌月になれば、損益では利益が出ていても、
資金繰り表上はマイナスとなることもあります。

このことにより、利益は出ているのに手元のお金が足りなくなり、
黒字でも倒産する原因となります。


会社が倒産するのは、赤字で利益が出ていないからではなく、
現預金が無くなることによって起こります。

このようなことを未然に防ぐためにも資金繰り表の作成が重要になります。

資金繰り表の活用について

①銀行借入の際の根拠資料として活用する

資金繰り表を作成するメリットは、
資金が不足するタイミングをシミュレーションすることができることです。
そのため、借入金などの資金調達の対策を早めに打つことができます。

銀行に借入の相談をする際に、
根拠資料として資金繰り表を提出することでスムーズに進む可能性があります。
銀行が借入の際に気にすることとして、
「資金使途」という項目があります。

設備資金の場合は機械の購入など、お金の使い道が明確となっているので、
その購入代金が借入額となるかと思います。
しかし、運転資金の場合は借入額を決めるのに明確な数字はありません。
できるだけ多く借りられれば良いという考え方は間違いです。

借りたらその分返済の額も大きくなりますし、
無駄な利息を支払うことになります。
また、銀行の担当者から「この社長は自社の数字が分かっていないな」と思われてしまいます。

その点を解決するためにも資金繰り表を使って、
「いつ、どの時点で、いくら不足する」ということを明確にして、
融資相談に臨みましょう。

②銀行の返済が問題なく行えるかを確認する。

コロナ融資が始まり、間もなく3年が経とうとしています。
もうすぐコロナ融資の返済が始まるという会社様も多いのではないでしょうか。

コロナ融資の借入がある会社様は返済が自社の資金繰りに影響がないか確認することをお勧めします。
資金繰り表を使ってシミュレーションしてみて、
今後資金がショートしてしまうのであれば、事前に借換制度の利用や追加融資の相談。
それも難しいようでしたら、リスケの相談を進めておきましょう。

経営のもう一つの指標として

会社の存続のためには損益も重要ですが、もう一つの指標として資金繰りも重要です。

いくら損益計算書上で利益が出ていても、
現預金の不足によって会社は倒産します。
重要なのは儲けた利益がどこに消えているのか確認し、
その不足分を借入金等で補う対策を打つことです。

正しい経営判断をするためには、
損益と現預金のズレを理解することが大切です。
是非この点を理解して顧問先の会社様の経営に役立ててください。