桐生タイムスへ寄稿 H28.7.21

群馬県桐生市の税理士 内田です。

桐生市の地元新聞 桐生タイムスの「税務Q&A」へ寄稿しました。
内容は、個人的にはあまり賛成できない消費税の軽減税率についてです。

桐生タイムス 税務相談Q&A 平成28年7月分

Q.

消費税の10%増税が再延期されたそうですが、
軽減税率はどうなるのでしょうか?

A.

5月の時点で安倍首相が消費税率10%への引き上げ再延期を表明しました。
延期するのは平成31年10月9月までです。
当初の延期が平成29年4月3月までの予定だったので、2年半の延期となります。

消費税率引き上げに伴って導入する予定だった、
一部の食料品・日刊新聞等への軽減税率の適用も、
同様に平成31年10月9月まで延期されるようです。

軽減税率の導入には、いまだ賛否の議論がありますが、
結果的に準備期間が長くなったことはよかったのかもしれません。

平成31年10月より導入される予定の軽減税率は、
生鮮食品・加工食品は対象となりますが、外食は軽減税率の対象となりません。

牛丼チェーン店やハンバーガーショップでの購入は、
お客さんが「持ち帰ります」と意思表示をして買う場合は軽減税率の対象となり、
逆に「店内で食べる」場合には外食となり、軽減税率の対象にはなりません。

ハンバーガーショップにて「持ち帰り」と言って買えば軽減税率の対象となりますが、
気が変わってそれをそのまま店内で食べても「外食」扱いで税率10%の対象にはならない、
という妙な現象が生じます。

この辺りは、軽減税率が施行された後、どのような運用になるかはまだ分かりません。
お店側でも「持ち帰り」の8%税込金額が、
「店内」で食べる場合の10%税込金額と同じ価格になるような値段設定をするようになる可能性もあります。

日本よりも先に軽減税率を導入しているイギリスでは、
名物のフィッシュ&チップスは軽減税率の対象ではありません。

一方、スーパーのお惣菜コーナーで売っている、
数時間前に揚げた魚の揚げ物は軽減税率の対象となります。
イギリスの場合では、軽減税率の対象となる基準の一つとして
「販売時点で気温より高い温度か否か」というものがあります。

揚げたてのフィッシュ&チップスは外食サービスとなりますが、
冷えているお惣菜は外食サービス扱いではありません。

揚げたてのフィッシュ&チップスを、
その場で冷めるまで待ってから買ったらどのような取扱いになるのか、
は分かりませんが、いずれにしても軽減税率の運用には大分苦労しているようです。

消費税増税・軽減税率はわれわれ消費者の生活はもちろん、
事業をされている方にもすべからく大きな影響を与えるものです。
制度自体がまだ道半ばのため不確定な要素も多々あります。

従いまして、今後も報道・政府広報等にご留意頂き、
ご不明な点は最寄りの税理士又は税務署等へ相談されることをお勧めいたします。