ネット通販で購入した場合のインボイス(桐生タイムス「税務相談Q&A」へ寄稿 R6.4.18)

群馬県桐生市の税理士 内田です。

桐生市の地元新聞 桐生タイムスの「税務相談Q&A」へ寄稿しました。
ネット通販で購入した場合のインボイスについてのご質問に対する回答です。

桐生タイムス 税務相談Q&A 令和6年4月分

わたしは桐生市内で雑貨の小売業を営んでいます。

商品の仕入やお店の備品購入によくネット通販を利用しますが、
ネット通販を利用した場合インボイスはどのように保管すればいいのでしょうか?

ご質問ありがとうございます。


消費税の課税事業者で、
かつ本則課税を適用している場合は、
仕入や経費のインボイスを適切に保管しておかないと、
消費税の申告時に仕入税額控除ができなくなります。


Amazonや楽天で購入する場合も同じで、
インボイスを適切に保管しないと仕入税額控除が100%行えません。


Amazonから購入する際は、
販売者がAmazonであれば問題ありませんが、
実際の販売者は個々の事業者で、
Amazonは単に媒介をするだけ、
という場合も多くあります。

楽天でも同様です。

楽天はあくまでモールを提供するだけなので、
販売をするのはあくまでモールに出店している各販売者となります。

そのため、
Amazonや楽天で購入する際にインボイスが必要な場合は、
商品説明や出店者の説明ページから、
インボイスの発行事業者かどうかをいちいち確認する必要があります。

楽天では出店者の会社概要から
「適格請求書の登録事業者」か否かが表記されているのでわかりやすいです。

また、
カード決済をした場合はクレジットカード明細に
「Amazon」や「楽天」などの表記がされますが、
それぞれの買い物の請求書などを保管しておかないと
インボイスとしては認められません。

ネット通販に限らず、
インボイスの有無をすべて確認して取っておくのは
事務処理が非常に煩雑になるかと思いますが、
簡易課税を利用している事業者はインボイスの保管は特に必要ありません
(経費の証拠書類としての請求書・領収書の保管は当然必要ですが、
 インボイスの有無までは気にする必要がありません)。

さらに、期間限定ですが

 「少額特例」と「8割控除」

という特例制度もあります。

「少額特例」は、
基準期間における課税売上高が1億円以下であれば、
少額(税込1万円未満)の課税仕入れについて、
インボイスの保存がなくとも
一定の事項を記載した帳簿の保存のみで
仕入税額控除ができるというものです(令和11年9月30日まで)。


また「8割控除」は、
インボイス未登録の事業者へ経費を支払っても、
請求書などがあれば令和5年10月1日の制度開始以後3年間は、
支払経費にかかる消費税額の80%、
その後の3年間は50%を控除できる、
というものです。

これら特例制度はともに期間限定ですが、
特例期間が終了するまでに、
インボイス制度に馴染み、
インボイスの適切な保管・処理ができるようにしていきましょう。

実際の運用にあたっては、
その他の詳細な要件もありますので、
詳しいことやご不明な点は最寄りの税理士等へ相談されることをおすすめいたします。

(桐生税理士会 税務研究部会 内田伸)